弁護士の独立開業は悲惨か?
独立を考えたときに、ほとんどの方が不安を覚えます。
業界全体の競争が激しくなっていますので、以前に比べたら厳しいのは確かです。
ただ、悲惨とは言えません。
他の業界と同じように、経営に成功する方はいますし、失敗して悲惨な思いをする方もいます。
事務所に所属していれば、プレイヤーとして仕事をしていればよかったものが、
独立開業すれば、経営者としての手腕が求められ、自分で仕事を取ってくる必要が出てきます。
この記事では、弁護士の方が独立開業で失敗しない6つの秘訣をお伝えします。
必要な資金や費用についても記載します。
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1.事業計画書と損益計算書を作る
ベンチャー企業が投資家から資金提供を受けるときには事業計画を作ります。
大企業が今後の戦略・計画を決めるときには、経営計画書なるものを作ります。
それらと同じように、弁護士も独立するときには、
独立開業してから3年後までの事業計画書を作りましょう。
・どんな仕事に力を入れていくのか?
・どうやって仕事は取ってくるのか?
・仕事を取ってこれなかった場合の対策は?
・ライバルに負けないための戦略は?
・経費はどのくらいかかるのか?
これらの質問に答えられるようになっていれば、
戦略が練られています。
事業計画書は色んなフォーマットがあります。
日本政策金融公庫の事業計画書フォーマットを参考に作ってみましょう。
さらに、私のお勧めは、事業計画書の他に、
3年分の月別の予測売上と費用の推移を記入した損益計算書をエクセルで作ることです。
数字を入れるためには、戦略と同時に、戦術も考える必要が出てきます。
※損益計算書フォーマットの具体例
2.集客・マーケティングを極める
弁護士業界も、広告が解禁され、集客・マーケティングを工夫しながら
同業者との差別化を図り、顧客を獲得する必要が出てきています。
詳しくは、「弁護士が集客・マーケティングで成功する9つの方法」に書いたので、そちらを見てください。
ここでは、簡単に書いておきます。
大きく分けると、集客・マーケティングは、オフライン戦略とオンライン戦略に分かれます。
さらにその中にも多くの集客手段があります。
例えば、オフライン戦略には、
・チラシ
・セミナー
・新聞
・地域コミュニティ活動
などがあります。
オンライン戦略には、
・ホームページ制作
・SEO
・リスティング広告
・Facebook
・Twitter
・Youtube
などがあります。
すべてに取り組むことは時間を考えても難しいと思います。
ただ、どれだけやれたかで結果が変わってきます。
適宜外部の企業やサービスを利用して、
対策ができるようにしておきましょう。
外部の企業やサービスを利用する場合は、
会社によってかなりの実力差があるので、信頼できる会社を探して依頼し、
無駄な広告・マーケティング費用を使い過ぎないように注意してください。
3.立地戦略・弁護士事務所の構え方
立地戦略としては、やはり交通の便が良いほうがいいです。
みんなが利用しない駅の近くや、駅から徒歩20分以上となると、なかなか来てもらえません。
地方になると車社会ですが、
それでも交通の便の良い場所がお勧めです。
そこで問題となるのが家賃です。
交通の便が良い場所は、人気があるため、家賃も高くなります。
最近は、シェアオフィスやレンタルオフィスといった比較的安い料金で、
オフィスを借りられる場所も増えていますので、
そういう選択肢も入れておきましょう。
家賃は固定費なので、高額だと長期的に経営が圧迫されます。
なるべく費用を抑えつつ、良い物件を探しましょう。
地域の選び方
東京や大阪は人気があり、仕事の数も多いですが、弁護士の数も多いです。
事件数などの市場規模を、弁護士の数で割り、競争度合いをチェックしましょう。
競争度が高いのであれば、
その地域で独立するのが得策とは言えません。
どういった方法で仕事を確保するのか、戦略を練っておく必要があります。
立地戦略とオンライン戦略
オンライン戦略について述べておきます。
1人で独立する場合、大都市でオンライン集客の勝負をすると苦戦を強いられます。
なぜなら、大都市には、Webからの集客に力を入れている事務所が多くあるからです。
例えば、京都の弁護士を探す方は、検索エンジンで「京都 弁護士」と検索します。
そのような人にアプローチするためには、ホームページを制作し、
検索結果で上位表示させるSEOや、上位に広告を出すリスティング広告で
ホームページへのアクセスを呼びこむことになります。
これらの施策には、時間とお金がかかります。
1人事務所と大きな事務所では、使える資金に差があるにもかかわらず、
同じ土俵で戦うことになります。
大都市で独立する場合には、
複数人で独立して競争力を高めたり、
オフラインからの集客にも力を入れつつ、Webからの集客では一点突破を狙ったりするなど、
勝つための戦略を作っていきましょう。
さらに独立する人は、基本的なマーケティングの知識を身につけ、
新しいことに取り組んだり、料金体系を工夫したり、独自の強みを探したりして、
ライバルに負けない対策を行ってください。
4.独立開業の年齢
独立開業は、何歳が適齢というのはありません。
最近は就職できずに、いきなり1年目から独立する弁護士が出てきていますよね。
そのように全く経験がない状態で独立しても、上手くいっている人もいます。
日本の有名な起業家を見れば、
起業した年齢や経験はあまり関係ないというのが分かるでしょう。
これまで説明したような戦略と行動力があれば、
独立してもやっていけるのではないかと思います。
5.弁護士の平均年収と収入を上げる方法
弁護士の平均年収と収入を上げる方法を確認します。
弁護士の平均年収
日本弁護士連合会がアンケートで集めた平成25年(2013年)の収入に関するデータです。
回答したのは、以下のような弁護士の方たちです。
万遍なく分布しています。
30〜40歳の割合が多いのは、1年に合格する合格者が増えてきたからでしょう。
次に、弁護士の収入データです。
平均で2000万円を超えていますが、注意が必要です。
これは収入(=売上)で、サラリーマンの収入とは異なります。
この収入金額から様々な経費が引かれることになります。
こちらが所得データです。
平均で900〜1000万円あたりとなっています。
他の職業に比べれば高いですが、少しずつこの金額は下がっています。
中央値は、600〜700万円くらいですので、大企業のサラリーマンの平均年収と同じくらいです。
※これらのデータは、日本弁護士連合会の2014年弁護士実勢調査を引用してきました。
収入を上げる方法
収入を上げる方法は、基本的に次の2つです。
①割の良い仕事を中心に扱う(客単価を上げる)
②専門分野を作って効率的に回すか(客数を増やす)
この他に規模を大きくする(従業員を増やす)手段もあるでしょう。
これらは、地域やポジショニングを考えながら、自分にとってどの方法がいいのか見定める必要があります。
例えば、人口の少ない地域なら、どれか分野を絞っても事件数が多くないので、仕事がなくなります。
そういった地域では、仕事の幅を広げつつ、割の良い仕事をいくつかの分野で扱うことが大切です。
逆に人口の多い地域では、手を広げすぎるとライバルと比較されたときに優位性が無くなります。
優位性がないと、実力や経験で劣ってしまうため、仕事が取れなくなります。
自分が独立開業する地域を念頭に入れて、ポジショニングを考えましょう。
※ポジショニングとは、自分のビジネスを顧客のニーズに合わせると同時に,
ライバルとの十分な差別化を行いながら、顧客の記憶の中にユニークに位置づけることを言います。
6.必要な資金・費用
独立後すぐにどのくらいの仕事が取れるのかで必要な資金・費用は異なります。
以前の職場からの継続案件がないのであれば、最低3ヶ月分の生活費は用意しておきましょう。
それにくわえて、事務所のオフィス賃貸にかかる敷金などもかかります。
さらには、机・電話・FAX・コピー機など自分で事務所を構えるとなると、それらのお金も必要になってきます。
最近は、ベンチャー企業と同じように、
シェアオフィスやレンタルオフィスを使う弁護士の方も出てきました。
こういった施設を使えば、初期費用・固定費用を安く抑えられます。
専用のFAX機や資料の保管場所など、他の企業とは異なる条件もあると思いますので、根気よく探しましょう。
もし見つからなければ、交渉して安くしてもらうなどの方法もあります。
もっとも低く抑えたければ、自宅開業という手もあります。
どのような形で独立するかによりますが、
独立開業後は、以下の費用が比較的大きな項目です。
・オフィスの家賃
・弁護士会費
・電話代やリース代
・事務員給与(雇う場合)
・ホームページ制作(作る場合)
など
これらを合わせて考えると、地域や形態にもよりますが、
200〜300万円くらいが独立時にあれば、良さそうです。
銀行から借り入れる方法もあります。
まとめ
競合や市場データを調べて、経営戦略と戦術(広告の使い方)を明確にしておきましょう。
そのクオリティ次第で、その後の事業の成長が大きく変わっていきます。
独立のリスクを下げ、スムーズに立ち上げる方法の1つとして、
事務所に勤務しているときから個人案件を確保できる体制を作り、独立開業へ移行するパターンがあります。
私のクライアントも勤務しているときからWeb集客できる体制が出来たことで、不安もなく独立することができました。
ご相談のある方は、問い合わせフォームからご連絡ください。
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